もはやニュースといえるほど新しい話ではないが、1970年から1980年にかけて、アメリカ経済のなかで新しく作り出された職場のうち、2000万人あまりの分は、小規模の新しい企業によるものであった。しかし、この傾向が近年のリセッションの時期を通じてずっと継続しただけでなく、むしろ加速されたということはあまり知られていない。たしかに、最近の3年間において、フォーチュン誌の500社については、300万人の職場が失われたのに対して、10年以下の社歴の会社についてみると、少なくとも75万人の職場が増加し、100万人をちょっと超す新規の採用が行なわれたのである。
この傾向は第二次世界大戦のあとでの典型的な現象とは、まったく逆になっている。1950年から1970年にかけては、国内の新しい職場の4分の3は大企業か政府機関の手によって作り出されてきた。都市中心部においては、職場の喪失は大部分が歴史の新しい小企業におけるものであった。1950年から1970年までの期間においては、アメリカの成長の動力源は既成の枠内にあった。しかし、1970年以降、とくに1979年以降においては、これらの動力源は創造的企業人の部門に移行してしまった。
ハイテクの後にくるもの
さて、「世のなかの常識」に反して、ハイテク産業といわれるコンピュータ、遣伝子組換えなどはこの創造的企業部門のなかでは少数派にすぎない。事実“ザ100社”といわれるところ、'つまり株式が公開されていて、社歴5~15年で、最も急速に成長している100社をとってみると、その4分の1はコンピュータ関連である。しかし、このザ100社は株式が公開されていることが条件であって、創造的企業のよいサンプルとはいえない。ハイテクサイドに強くバイアスがかかっている。それでも去年の場合にはレストラン・チェーンが5社、婦人服メーカーが2社、健康関係が何社か含まれていた。