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製造企業が長期間にわたり競合優位を保てるかどうかは、ひとえに製品開発能力にかかっている。新製品開発は、市場地位や財務実績の向上、新しい業界基準やニッチ市場の創造、さらには企業組織の再編成に貢献する。しかしながら、当初の計画が十分達成されるプロジェクトはほとんどない。開発段階でうまくいかなくなるのが普通なのだ。この原因はリーダーシップの不足や必須技術の欠落に求められる場合もあるが、多くは開発プロセスにとりかかる方法自体が問題なのである。それは、“集合プロジェクト・プラン(aggregate project plan)”なるものが欠けているためである。
仮想企業、プレクイップ(PreQuip)社という大型科学機器メーカーのケースを例にとって議論を進めていこう。
1989年の中期、上級管理者たちは、製品開発プロジェクトが軒並み遅れているという警告を受けた。数カ月にわたり開発予算は上昇しているのに、完了プロジェクトの数は減っていた。しかも、開発途上にあるプロジェクトの多くは、もはや市場ニーズを反映しているようには思えなかった。特にマネジメントを困惑させたのは、年度事業計画の指示によるとマーケティング部門と設計開発部門がプロジェクトを立案することになっていることであった。