AIを導入しても
なぜ成果を得られないのか

 人工知能(AI)をビジネスの中心に据えている企業はどこかと尋ねたら、アルファベット(グーグル)、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)、アマゾン・ドットコム、マイクロソフト、テンセント、アリババなど、ほぼ予想通りに大手テクノロジー企業の名前が挙がるはずだ。

 一方で、他業界の伝統的な組織では、多くのリーダーが、AIの活用を通じて自社を変革するほどのケイパビリティを持ち合わせていないと感じている。その理由は、AIが比較的新しい技術であるからだ。しかしながら、10年前にAIを導入していた企業は存在しない。現在成功を収めている企業はいずれも、同様の基本的なタスクをこなしてきた。すなわち、AIの開発担当者を置き、AIの導入に必要なデータや人材、投資するための資金を集め、可能な限り積極的にケイパビリティを構築する活動に乗り出したのだ。

 言うは易く行うは難しという指摘は、まさにその通りだ。多くの組織におけるAI関連の取り組みは、あまりに小規模かつ一時的で、経済的価値をもたらす唯一の方法である大規模なモデルの展開に至っていない。