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これまで、トップ経営者たるものは、自らの後継者は自ら選び育てるべきものとされてきた。しかし私は、この恐れ多いやり方は、組織にとって、問題を解決するどころか、より多くの問題を生み出す元凶となっている場合のほうが多いのではないかと考えている。彼らが後継者選定を誤る理由には次の4つがあり、実際にはそれらが個別にもしくは複合して失敗を生み出していると考えられる。
1.先見性に欠ける現任者が、企業環境が将来、著しく変化する可能性を甘く見て、将来の組織リーダーの役割が現在と異なるものになろうということに思いが及ばない。
2.現在のトップ経営者を成功に導き、引き続き後継者にも求められるべき資質を、後継者選定に当たる当人が気付いていない。
3.自分以外にこの仕事をうまくできる人間などいてたまるか、という無意識の自負心が選択の目をふさいでしまっている。
4.選定がしきたりにとらわれ、変革者や部外者を選択の対象外に追いやってしまっている。
つまり、トップ経営者が自ら後継者を選ぶことは、組織として危険な火あそびであり、やめるべきである。といって、これをやめさせることは大変に難しい。ピーターの法則という決まり文句で撃退されるか、あれこれ、こじつけてごまかされてしまうかといったことになる。しかし、トップの座は目につきやすいポストであるだけに、その失敗は明らかに露見する。周知の事実に次のようなものがある。