-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
「振り返ってみると、私はホワイトハウスでの局長の仕事にフラストレーションを感じただろうか。たしかに、今まで私がついてきた仕事のうちで、もっとも難しい職務ではあった。もし、きわめて複雑な問題に取り組むことに不快を覚える人にとっては、フラストレーションの高い仕事といえよう。この仕事では、4~5の政府の部局、いくつかの圧力団体、議会、さらに大統領が最終的判断を下すべき諸問題といった複雑な問題を同時的に処理してゆかなければならない。しかし、このような状況を好み、挑戦と感ずる場合には、この仕事はきわめて刺激にとんだものとなる。とくに何らかの改善、変革が眼に見えてくる際には、きわめてやりがいのある仕事となる。したがって、私自身はこの仕事を困難で、挑戦的で、疲労をまねく職務とは感じたけれども、フラストレーションを生む仕事と感じたことは、一度もなかった[原注1]」(ドナルド・ラムスフェルド、現G.D. Searle社の社長兼最高経営責任者)
「デイビッド・マホーニーやレイ・クロックといった経営者も決して千里眼を持っているわけではないが、彼らは、コンピュータのロジックとは相容れないけれども、なおビジネス上の問題を解決し得る方法を発見する。その結果、彼らの会社は巨額の利益を達成していく[原注2]」。
「皮肉なことに、ITT内のさまざまの情報源の示す結論を要約すると、ハミルトン氏の電気通信、その他の分野におけるリーダーシップについて、ITTの重役陣は、彼らの望む信頼感を喚起するに十分なものとは考えていない。ところで重役陣は、海外からの激しい競争が存在しているがゆえに、今こそITTに強力なリーダーシップが必要であると考えている[原注3]」。
「ディック(ギィオーダーノ)は、非常に頭もきれ有能で、ものごとを適切に組織化してゆく。また彼は、部下のすぐれた資質を引き出す術を心得ている、とロバート H. レグ氏(前エアコー社の重役で、ユリス・ブラザーズ社の前会長)は発言している。さらに、エアコー社の重役で、ドレクセル・バーハム・ランバート社の専務でもあるクロッカー・ネビン氏は、ディックこそ部下と部下の能力にきわめて高い関心を寄せる天才的人物である、と付け加えている[原注4]」。
「ヘンリー・シングルトンは、他からの批判をたいして気にしない。1970年代に、投資家や証券会社がテレダイン社に熱意を失い、社から離れていったときに、シングルトンは、自分で自社の株を買い増していった。1972年10月から1976年2月の間に、彼はテレダイン社の公開株を3200万株から1140万株に減らすことによって64%も公開株を減少させた。彼はこの変革をウォール・ストリートからの圧力によって行なったわけではない。彼は、他の経営者の支援なしに、むしろ重役会の助言に反してこの変革を進めたわけである[原注5]」。