HDXの世界観に近い好事例として挙げられるのは、ある大手アパレル企業の取り組みだ。この企業は、店舗スタッフがお薦めのファッションや着こなしのポイントなどを写真付きで自社のeコマースサイトに投稿、サイトを訪問した顧客は、実店舗でスタッフと接しているような人間味を感じる。その結果、スタッフの投稿を起点とする販売が、eコマース売上げの6割を占めるまでになった。

「店舗とeコマースの組織を統合し、どのチャネルでも人間味のあるサービスを提供できる体制を整えたほか、フォロワー数が上位のスタッフを表彰するなど、EX向上も含めた仕組みをつくり上げたことがポイントといえます」(松井氏)

 また、電通デジタルが支援した大手通信会社では、ウェブでの各種手続きの入り口がわかりにくく、手続き自体が煩雑だったため、途中で離脱してしまうユーザーが多かった。

 そこで同社では、新たなウェブ接客ツールを導入、実店舗の誘導スタッフのような擬人的な機能を実装して、それぞれのユーザーにとって必要な手続きの入り口を案内し、手続きの途中でわからないことがあればすぐに応対できるようにした。その結果、ウェブ接客ツールを使った場合の手続き完了率は、約4倍に跳ね上がった。

 松井氏は、HDXを実現するポイントとして、「あらゆる接点における顧客対応のナレッジを蓄積する機能の構築」「ChatGPTに代表される対話型・生成型AIなど擬人的なテクノロジーの活用」「顧客とのつながりを全社横断で可視化するCX中核組織の構築」の3つを挙げる。

 これらのポイントを踏まえ、「企業が持つ人的資本の強みとデジタルの特性を最大限に活かした、全社横断的なCXのアップデートを当社がトータルにサポートします」と桑山氏。電通デジタルはクライアント企業とともに、HDXによる新たな顧客価値創造への挑戦を続ける決意だ。

*「ヒューマナイズド デジタル エクスペリエンス」(HDX)について、詳しくはこちら
* ChatGPTなどを活用した「AI主役型カスタマーサービス」の実現支援について、詳しくはこちら

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