「私たちのコンサートから帰る時に、自分も仕事を頑張ろう、バンドをやってみよう、詩を書こう、通りに出て抗議をしよう、投票しよう、そんな活気を感じてほしいのです」

 1970年代のロックミュージック界で「パンクの桂冠詩人」として名を馳せたパティ・スミスは、追い立てられるような10年を経てステージから姿を消し、家族との生活と執筆に専念した。そして、16年後にツアーを再開。2010年には写真家ロバート・メイプルソープとの日々を綴った回想録『ジャスト・キッズ』で全米図書賞を受賞した。2022年末に最新作A Book of Daysが刊行された。

HBR(以下太字):表現の世界でやっていけると思ったのはいつ頃ですか。

スミス(以下略):詩人やパフォーマーとしてやっていることが仕事になるとは、最初は思っていませんでした。いつも別に仕事を持っていたからです。16歳の時に工場で働き始めました。ニューヨークに出てからは書店で働きました。生きていくために稼がなくてはならず、アーティストの活動は、それとは別でした。