私たち夫婦は2人とも、頻繁に仕事で旅をする。そして2歳の子どもがいる。そのため、一人で飛行機に乗れば、電話にも友だちにも『ファインディング・ニモ』にもじゃまされないのだから、仕事が大いにはかどるだろうと想像することがある。

 地上でやるべきこと──パッキング、荷物検査の通過、搭乗間際の仕事の電話、夫婦間の電話、そして搭乗──までを大急ぎで済ませる。さて、想定通り機内でバリバリ仕事をしよう、と試みるのだが、何一つ片づけることができない。それどころか、何度もメール読み込みボタンを押し、何度も同じ研究リポートを読んだあげく、着陸後なお消えずに山を成す未読メールに対処し続けるだけの力は、もう尽きているのだ。

 なぜ、空の旅はこんなに疲れるのだろう。結局何もしないで座っているだけなのに。もっとタフだったら──仕事におけるレジリエンス(ストレスに満ちた状況から回復し再起する力)と強い意志がもっとあれば──やると決めたすべてのことを完了できるかもしれないのに。