ハイブリッドワークへの移行は
なぜこれほど難しいのか

 2年前、世界の多くの国が新型コロナウイルス感染症のロックダウンから徐々に抜け出そうとしていた頃、筆者は『ハーバード・ビジネス・レビュー』に寄稿した「ハイブリッドワークで理想の職場を実現する[注1]」の中で、私たちはいま、新しいハイブリッド型モデルの働き方へと移行する千載一遇のチャンスを迎えており、適切な形で実践できれば、あらゆる人に恩恵をもたらす可能性がある、と主張した。

 その考えはいまも変わっていない。しかし、新しいモデルの確立には、思った以上に長い時間がかかるかもしれない。その理由は、働き方の再構築が複雑だからだ。

 コロナ時代の到来から4年目を迎え、組織とそこで働く従業員たちは、居心地の悪い中途半端な状態に置かれている。過去の働き方からは切り離されている一方で、そこからどのように前進すべきか見えていないのだ。まだわからないことが、あまりに多い。