The Smart Factoryやインダストリー4.0は、現場の底力を高める

――製造業のスマート化、インダストリー4.0化を加速させるために、デロイトとSAPではグローバルな連携、協力体制を強化していくそうですね。

鈴木 The Smart Factoryにしても、インダストリー4.0にしても、企業ごとの課題に応じてさまざまなソフトウェアとハードウェアを組み合わせ、ITとOT(オペレーショナルテクノロジー)を密接に連携させてなくては実現できません。もはやどこか1社だけが顧客企業を支援すれば、課題を解決できるという時代ではないので、デロイトさんと私たちSAPがそれぞれの強みを活かし、補完し合いながら1社1社の課題を解決していかないと、その先にあるサプライチェーン全体の最適化までたどり着くことはできないと思います。

 これからは、デロイトさんや私たちSAPのように企業の変革を支援する側も、オープンに連携していく必要があります。そのために、SAPも世界中で多くのテクノロジー企業とパートナーシップを組んでいますし、デロイトさんにもさまざまなパートナーとのエコシステムがあります。その全体像を把握して、顧客企業にとって最適なテクノロジーの組み合わせをデザインし、提案していく。その点で、デロイトさんに中核的な役割を果たしていただきたいと期待しています。

髙橋 新しいテクノロジーやシステムを導入すれば変革が終わるわけではなく、現場に定着させて、オペレーションを円滑に進めながら、新たな課題が出てきたら、またその解決に向けた仮説を立て、実行・検証していかなくてはなりません。そこはデロイトさんと連携しながら顧客企業を支援していくのが、最善の策だと考えています。

奥田 クライアントが変革を実現できるまで、エンド・トゥ・エンドで伴走していくのが当社のポリシーですが、それを実行するうえでSAPさんの技術的なサポートをいただければ大きな力になりますし、クライアントへの提供価値も非常に高まります。

奥田伸二郎
Shinjiro Okuda
デロイト トーマツ コンサルティング
執行役員

 京都と東京のThe Smart Factoryの拠点で、私たちデロイトとじっくり話し合ってクライアントが変革の青写真を描き、それを実現するテクノロジーの組み合わせをSAPさんのIndustry 4.0 Centerで具体的に検討していく。逆にSAPさんの拠点で思い浮かんだアイデアを、デロイトの拠点で全社プロジェクトとして実行する計画に練り上げていく。そのように両社の拠点をうまく活用していただければ、スマート化、インダストリー4.0化を加速させることができると思います。

芳賀 私たちデロイトがSAPさんとのパートナーシップを日本・北米・欧州の3地域で実施している意味も大きいと思います。グローバルでのサプライチェーン最適化を検討するに当たって、クライアントがデロイトとSAPさんの日米欧の拠点を使いながら、システムやデータの連携をシミュレーションできるからです。

 デファクトスタンダードとなっている技術やハードウェアは、グローバルで共通のものもあれば、地域ごとに異なるものもあります。ローカル企業とのパートナーシップは、SAPさんとデロイトでは異なる部分があり、両社の拠点を利用することでクライアントはより幅広い組み合わせを検討することが可能になります。

 奥田が申し上げた通り、クライアントにはデロイトとSAPさんの両方の拠点をうまく活用していただきたいですし、私たちデロイトはSAPさんと相互に知見を共有して、それぞれがイノベーション創出拠点としての価値を高めていきたいと考えています。

芳賀圭吾
Keigo Haga
デロイト トーマツ コンサルティング
ディレクター

鈴木 「どこから手をつければいいんだろう」と迷った時、あるいは、新たな課題が見つかった時、企画・構想化フェーズやブループリントフェーズ、導入中や稼働後のネクストステップ展開のタイミングなど、折をみてSAPとデロイトさんの拠点を訪ねていただきたいと思います。

 「我が社をこう変革したい」という志を持ったミドルマネジメントの人たちが経営層を説得する時、逆に経営トップが社内の変革のモチベーションを高めたい時にも、SAPとデロイトさんのショーケースが役に立つはずです。

 最後に一言申し上げたいのは、インダストリー4.0やThe Smart Factoryは現場の力を削ぐものではなく、むしろ現場の創意工夫をエンパワーするものだということです。つまり、日本の強みである現場力をさらに高めるものです。ですから、両社の拠点をぜひ何度でもお使いいただいて、現場の底力を高めてください。

*1 デロイトの「The Smart Factory」について、詳しくはこちら

*2 SAPの「Industry 4.0 Center TOKYO」については、こちら