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かねてより企業が無視し続け、長らくまともには取り合わず、後になってようやく考え始めた問題がある。組織の上層部における、有色人種の少なさである。その頃の米国企業において、エグゼクティブのポストに占める非白人の割合は11%[注1]、フォーチュン500企業のCEOに限れば、アフリカ系は6人、アジア系は8人、ヒスパニック系も8人のみであった[注2]。
一流人材は、業績を上げ、勤勉で、支援者(自分の能力開発と昇進を後押ししてくれる有力なリーダー)の後ろ盾があれば、評価と昇進を勝ち取ることができるとされている。だが実は、そうした「リーダーとしての潜在能力」だけでは、男女を問わず、重役室に入ることは難しい。企業のトップの地位は、その地位にふさわしく見え、行動する人物、すなわち「エグゼクティブ・プレゼンス」(言わば、リーダーらしさの規範)を体現している人物に与えられるからだ。
センター・フォー・タレント・イノベーション(CTI)が行った最近の調査によれば、上級管理職の26%が、幹部への昇進を果たすにはエグゼクティブ・プレゼンスが必要と考えている[注3]。しかし、管理職は圧倒的に白人が多いので、非白人(アフリカ系米国人、アジア系、ヒスパニック系)のプロフェッショナルは、見た目でも、言葉でも、行動でも、自分がリーダーらしさを体現するうえであからさまに不利な立場にあると気づくことになる。