エバーグリーン・プロジェクトが明らかにした勝者と敗者の違い

 1990年代にドットコム・ブームが到来した時、産業界のルールは一変したかに思われた。魅力満点の「IPO」(新規株式公開)、「ビジネスライク」という冷徹な姿勢、そして「モメンタム投資[注]」という魔法の絨毯、これら2つがあれば、ほかには何もいらない時代だった。

 起業家もベンチャー・キャピタリストも、伝統的なビジネスモデルを時代遅れのワン・パターンとしてお払い箱にした。その間、我々はずっと考えていた。「本当にこれでよいのか」と。

 長年にわたって、新しい経営コンセプトが生まれては消えていった。熱狂的に迎えられたアイデアも翌年には一顧だにされなくなる。そこで、我々はこんな疑問を抱いた。「本当に効果を上げているのは何なのか」と。

 我々は好奇心に突き動かされ、複数年にわたって大々的な調査を開始した。そして160社の10年間の活動を調べ、さまざまな経営行動のなかから定番といわれるものを200以上選び、それらに子細な分析を加えた。

 その結果は思いも寄らぬものだった。ほとんどのマネジメント・ツールや経営手法が高業績をもたらす直接要因ではなかったのである。

 成功のカギは、むしろビジネスの基本にあった。つまり業界平均以上の業績を上げている企業は、主要な4つの経営行動、すなわち「戦略」「業務執行」「社風」「組織構造」において絶対的に抜きん出ていたのである。

 しかも「優秀な人材」「イノベーション」「リーダーシップ」「合併・提携」という4つの副次的な経営行動のうち、どれか2つでもライバルを圧倒していたのだった。