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伝統ある企業ほど、そして過去の成功体験が大きい組織ほど、変革は難しい。自社の存在意義や独自の価値を保ちながら、いかに革新を続け、不確実性の高い時代環境の中で企業としての持続可能性を高めていくか。和久傳、AGC、帝国ホテルの事例から、サステナブルな組織の条件を探究する。
長い歴史を持ちながら
変わり続ける企業の共通点
最近、経営者の方から「持続的な成長を可能とする組織をどのようにつくっていくべきなのか」、といった論点についてご相談をいただく機会が増えています。これから先、企業価値を維持していくには変革が必要だとわかっているものの、何を変えて、何を守っていくべきか、経営者の皆様は悩まれているのだと思います。
こうした問題意識の背景には、明らかにESG(環境、社会、ガバナンス)やサステナビリティに対する社会的な関心の高まりがあると思われます。加えて、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)という言葉に代表されるように、不確実性がかつてないほどに高まった経営環境の中で、どうやって自社独自の価値を保ち続けるか、という課題感も経営者の頭の中にあるようです。
サステナブルな組織づくりというのはとても難しいテーマですが、それに成功している日本企業があるのも事実です。長い歴史を持ちながら、革新を続けることで自分たちの価値を維持し続けている企業を研究することで、持続的な組織をつくる秘訣を探ることができます。今回は、あえて業種・業態がまったく異なる3つの企業を選び、その成功法則を考えていきたいと思います。

AKIRA SHIBATA
コーン・フェリー・ジャパン
コンサルティング部門責任者 シニア クライアント パートナー
京都の高級料亭である和久傳、ガラス・化学品・セラミックス・電子事業などの素材ソリューションを展開するAGC、日本を代表する高級ホテルを運営する帝国ホテルの3社が研究対象です。いずれも創業から100年以上の歴史を持ちながら、いまでもまばゆい輝きを放っている企業です。
私は、3社の経営トップに直接お話を伺いました。和久傳は桑村祐子社長、AGCは島村琢哉会長、帝国ホテルは定保英弥社長です。ビジネスモデルも業界環境も異なる3社ですが、それぞれの経営トップが取り組んできたことには、3つの共通点がありました。