研究の概要

 サウスカロライナ大学准教授のシャオジン・ヤンと2人の共同研究者は、ペットの飼い主に株式と投資信託の基本を説明し、前者はリスクが高いことを強調したうえで、どちらのタイプの金融商品を購入したいか、いくら投資するかを質問した。すると、犬の飼い主は猫の飼い主より株式を選ぶ傾向が強く、株式を選んだ比較的少数の猫の飼い主より、投資すると答えた金額も多かった。追加の実験では、猫の飼い主はトラブルを回避できる商品を好み、犬の飼い主は利益を約束する商品に惹かれることもわかった。

 つまり、猫の飼い主は犬の飼い主より慎重な消費者である。この結論について、ヤン准教授に解説していただこう。

犬は促進焦点、猫は防止焦点

シャオジン・ヤン  Illustration by JOEL KIMMEL

ヤン(以下略):消費者の行動には、促進焦点と防止焦点という、相反する2つのマインドセットがあります。前者は意欲が高く、リスクを求め、利益を最大化することを優先します。後者は慎重で、リスクを嫌い、損失を最小化することを優先します。