デジタル化やグローバル化などの急速な進展に伴い、高度化・複雑化する経営課題を社内リソースのみで解決するのはもはや難しい。迅速に課題を解決し、企業を成長に導くためには、コンサルティングファームの知見やケイパビリティの活用が不可欠だ。しかし、うまく成果につながっていないと感じる企業も多い。いまこそ、コンサルを活かし切るためのスキルアップが必要だ。そのポイントについて専門家に聞いた。
依頼の仕方や選び方で成果は大きく変わる
年々拡大しているコンサルティング業界。そのコンサル分野は、従来からの「総合」「戦略」「IT」などに加え、「新規事業」や「中堅企業支援」「業務改善」など、特定分野に特化した中堅ファームが増加。ここ数年で専門性がどんどん高まり、支援の方法も進化している。それに伴い、企業の選択肢も広がっている。そこで難しくなるのが、自分の会社に合った、コンサルティングファーム(コンサル)の選び方だ。
「コンサルが専門分化し、独自の強みも進化を続けているため、課題解決のアプローチも多様化しています。だからこそ、事業会社は多くの選択肢の中から自社の個性に合ったコンサルと解決策を選ぶことが重要です」
そう語るのは、企業とコンサルとのベストマッチングを支援するプラットフォーム「PROFFIT」(プロフィット)を運営しているCo-nnect Inc.のCEO、関根有氏だ。
依頼の仕方の重要なポイントとして、関根氏がまず挙げるのは「いま生じている社内の問題、プロジェクト終了時にどのような状態になっていたいかという理想の2つを徹底的に具体化する」ことだ(図表参照)。
「コンサルに依頼事項を伝えればよいというわけではありません。依頼したいことは決まっていても、その結果実現したい成果やゴールが曖昧なケースが実は非常に多くあります。プロジェクトが終わった時にどんな状態をつくるかについて社内の認識をすり合わせておくことが大切です」
例を挙げると、同じDX推進プロジェクトでも「DX推進方針の社内合意」「DX推進開始の準備完了」「DX推進による成功事例づくり」など、登る山は同じでも、目指す高さの認識にズレが生じていることがよくあるという。この状態でプロジェクトが進んでしまうと、報告会での指摘や意見がばらついてしまい、総花的な検討に終わってしまうことも多い。
「次に、なぜ自社だけではその状態にたどり着けないのか、原因や難しさを振り返り、社内では解決ができない困難に絞ったうえで、コンサルに解決策を提案してもらうことが重要です」