たとえば、ある不動産ディベロッパーへの支援は、入居テナントへのインタビューという小さな案件から始まったが、いまではスマートビルディングの開発における体験設計、街のブランディング、テナントの事業成長支援など、複数の新規プロジェクトに伴走するようになっている。

「私たちは企業が抱える課題に決まり切った答えを当てはめるのではなく、クライアントが属する業界でも挑戦的な新しいテーマを一緒につくっていくアプローチを取っています」と、仁科氏は説明する。一般的なコンサルティングファームには見られないこうした独自のアプローチが、大胆な事業改革や組織変革の必要性を感じている企業から評価され、信用が信頼へとシフトしていく推進力となっている。

 STUDIO ZEROの信用のベースには、プレイドが築いてきたテクノロジーとCXの知見がある。KARTEをはじめとするプロダクト群を提供しているプレイドには、テックカンパニーとしてのスキルとノウハウが蓄積されている。同時に、そうしたプロダクト群を提供することで培ってきた先進的なCXの知識と経験を有している。「テクノロジーとCXの知見に、STUDIO ZEROとしての独自の人間力を加えることで、より高度な課題の解決に挑戦しています」(仁科氏)

プレイド
STUDIO ZERO代表
仁科 奏

 STUDIO ZEROは、官僚、戦略コンサルタント、スタートアップのCxO、事業会社の役員など多様なバックグラウンドを持つ人材が集まるプロフェッショナル集団だ。しかし、採用においてはスキル要件よりもマインド要件を重視している。「強い好奇心」「利他の精神」「『これをしてみたい!』という無邪気な夢や想い」などを必須マインドとして挙げており、そうしたマインドを持ったプロフェッショナルたちが、「産業と社会の変革を加速させる」という旗の下に集結しているのである。

「産業や社会の変革は私たち単独ではできません。そういう意味でSTUDIO ZEROに集まるメンバーもクライアント企業も、新しい未来をつくる仲間だと思っています。難しい課題に一緒にチャレンジする仲間を、これからもっと増やしていくつもりです」と、仁科氏は意欲を示す。

未踏の領域を切り拓くことに存在価値がある

 仁科氏らが事業開発や組織変革に伴走するうえで強く意識しているのは、STUDIO ZEROが持つ知見やマインドが支援先企業に蓄積されて内製化が促進され、STUDIO ZEROのメンバーが去った後も自走できるようになることだ。

 本人が自分で気づきを得ると、学習曲線が急上昇し、それが内製化の促進につながる。だからSTUDIO ZEROでは、研修の実施やITツールの導入によって外側から事業や組織を変えることよりも、内側から意識や行動を変えることを重視している。

 ある保険会社での次世代営業スキームの構築支援も、それを象徴する事例だ。