業界のスタンダードを変えるという志で個が強力な組織のパワーを生み出す

──BCGはどのような企業文化を持っているのでしょうか。

中澤 根底にあるのはアントレプレナーシップ(起業家精神)です。象徴的なのは、時代の潮流を先読みし、テクノロジー、デジタル・データ、新規事業創造やCXデザインを含む専門家集団を、他社に先駆け日本でも早い段階で立ち上げたこと。これはマーケティングなどの業界スタンダードを変革する志を持った個の集合体であり、既存のコンサルティング組織と融合してクライアントへ価値を発揮してきており、いまや海外のBCGのオフィスからもベンチマークされる存在になりました。

 たとえば生成AIは、いまやあらゆる経営層のトップアジェンダになっていますが、BCGは生成AIのモデルを提供するだけでは問題は解決できず、ビジネス改革は起きないことにいち早く気づきました。生成AIを活用するためには、プロセスやオペレーションについて詳細に理解し、社員全員のチェンジマネジメントが必要です。さながらガラケーからスマートフォンへの転換のような、コンセプトの違う思考や知見が必要になるのです。BCGではグローバルレベルで生成AIのR&D(研究開発)に初期段階からかなり投資し、ケイパビリティを構築して得られた知見を日本のクライアントに提供してきました。

 サステナビリティ領域に関しては、まだ小さな波だった頃から私たちはR&D組織を立ち上げて投資し、他社に先駆けて取り組んできました。社内のカルチャーとしてもSDGs(持続可能な開発目標)の考え方が定着しています。BCGがいち早く最先端の領域に飛び込みチャレンジしているのは、社員一人一人のアントレプレナーシップが根底にあり、経営層も積極的に新しい取り組みを推進しているからです。

 生成AIとサステナビリティ、どちらも業界を問わず、あらゆる企業で経営アジェンダとして取り組むべき重要かつ野心的なテーマであり、大きな社会的インパクトにつながると感じています。

──BCGのユニークなカルチャーはどのように個人のやりがいや企業の成長につながっているのでしょうか。

中澤 こうした企業文化の源は、すべて個にあると感じています。最先端で野心的なテーマに向かうことで、個々のやりがいや働きがいが生まれ、企業成長にもつながるのです。

 入社したてのコンサルタントでも、シニアなコンサルタントの鋭いアドバイスを受けながらグローバルの事例や知見を参照したり、海外のエキスパートと連携したりしながら、ハイレベルで社会的インパクトの大きい課題に取り組み、成長を実感できるのはBCGで働く醍醐味です。また国内外の最先端の知見や取り組みを次々と学べ、知的好奇心を伸ばせる環境であることも魅力です。業界のスタンダードをつくり、社会にインパクトを与えるというチャレンジが、ここにはたくさんあります。

ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&パートナー
中澤佳寛
国内の投資銀行を経て、ハーバード大学経営学修士(MBA)を取得した後、2014年にBCGに入社。あらゆる業界において、デジタル、イノベーション、およびビジネスを融合させた幅広い企業変革の支援を行っている。BCG保険グループ、金融グループ、テクノロジー&デジタルアドバンテッジグループ、およびマーケティング・営業・プライシンググループのコアメンバー。