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中年期への対処いかんでその後の人生が決まる
多くの場合、ミドル・マネジャー以上のポジションになるのは、たいてい中年期に差しかかる頃だろう。中年期とは、35歳前後から始まり、自分自身とおのれの運命とに折り合いをつけられるまで──人間の成熟とは、すなわちそういうことである──続く。この時期はまた、個人としての人生が開花する時期でもある。
つまるところ、さまざまな面で総合的に充実する時期といえる。まず、経験に裏打ちされた知恵が身につき、成熟した視点が備わる。活動性と生産性が最も高まり、そろそろキャリア・パスの頂上も見えてくる。
旅をする機会が増え、交際範囲が最も拡大するのもこの時期である。また、家庭、社会、職場における立場、自分の体力などの制約を受ける時期でもある。自分が収めた成功は手本となり、失敗は「他山の石」となる。
この中年期を迎えた人たちは過去と未来をつなぐ存在であり、家族と外界の接点であり、また部下たちと果たすべき任務の間に立つ存在である。つまり、中年期とは、一言で言えば、成功者となるための時期といえる。
しかしその後には、厳しい時期が待っている──。そう思われるかもしれないが、必ずしも正しくない。
加齢という運命を変えることはできない。しかし、対処する方法を工夫することは可能だ。工夫次第では、流れに身を任せた場合よりも長生きし、充実した生活を続けることもできる。
古代ギリシャ3大悲劇詩人の一人、ソポクレスは長命で、90歳を超えるまで生きた。戯曲『オイディプス王』は彼が75歳、同じく『コロノスのオイディプス』は彼が89歳の時の作品である。
ティツィアーノ・ベチェッリオは95歳にして、名画『レパントの海戦』を完成させ、97歳にして世界有数の名画『十字架降下』の制作に取りかかった。ベンジャミン・フランクリンは78歳の時、遠近両用眼鏡を発明した。