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経営改革の反動で個人プレー優先の状態に
編集部(以下色文字):江原さんは総合商社、外資系企業を経て、2011年にカルビーへ入社されています。前職までと比べて、当時のカルビーに、どのような印象をお持ちになりましたか。
江原(以下略):いまでも覚えているのは、入社直後から社員がとてもフレンドリーな態度で接してくれたことです。最初の転職で外資系企業に入社した際は、「この人は入社してどんなことをするのだろう」というような目で見られているように思い、アウェー感を覚えることがありましたが、カルビーではそうしたことがまったくありませんでした。
2011年当時は組織として急成長期にあったため、中途入社する人が増えており、新卒社員と中途社員の数がよいバランスになっていた時期でもあります。中途入社した私が誰と話しても、みんなが構えることなく内情や問題点を話してくれる点にはとても驚きましたし、当時から現場の仲がよい点も印象的でした。
ただ、私が入社したのは、ちょうど社内で経営改革がスタートしていた頃でもあり、コスト改善などをはじめ、より数字にこだわるようになっていたのも事実です。それまでカルビーはコストへの意識が希薄で、営業利益率が1~2%台と低迷していたのですが、2011年に上場したことも踏まえ、より数字にコミットする組織へと変わろうとしているところでした。
また社員とも「コミットメント&アカウンタビリティ」(約束と結果責任)、通称C&A[注]という契約を結び、社員が約束した目標に対し、徹底した結果主義を敷くスタイルに変わったところでした。つまり、結果ですべて評価されるようになったため、営業では「自分が商品を売りさえすればよい」といった雰囲気が醸成され、組織内に不調和が生まれ始めていたのです。
具体的に、どのような不調和が生じていたのですか。
営業が成績を上げるためには、商品をたくさん売らなければなりませんが、当然ながら、それには多くの商品在庫が必要です。改革当初は、工場にも生産余力があったため、営業が求める数を生産でき、それをみんなで売っていれば問題はありませんでした。