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リーダーシップチームは機能しているか
CEOや経営幹部は、高い成果を求めるあまり、組織を成功へと導く重要な要素を見落としがちになる。それは、リーダーシップチームが健全に機能しているかどうかという点である。これは大きな問題だ。機能不全に陥ったチームは、戦略遂行の大きな足かせになり、士気を下げるだけではない。上級幹部チームの健全性が、CEOの在任期間を左右することもある。
どのような問題がリーダーシップチームに影響を及ぼすか。リーダーがその問題を解決するにはどうすればよいか。これらの理解を深めるため、筆者らは最近、複数年にわたる研究プログラムの一環として、CEOと上級幹部100人以上にインタビューを実施した。その過程で幾度となく耳にしたのは、不満と失望が絡むエピソードだった。
多くのリーダーは匿名を希望したうえで、自分たちのチーム内にはあまりに多くの問題が山積しているため、なかなかうまく協力し合えないと明かした。筆者らが書籍The Next Leadership Team[注]の執筆のために調査を実施している時、次のように話してくれた人もいた。
「私がCEOとして着任した時、チームは著しい機能不全に陥っていました。チーム内のコミュニケーションはほとんどなく、取締役会とのコミュニケーションは現実を反映していませんでした。その下の管理職レベルとのコミュニケーションは完全に欠落していました。チームの面々は、相互に連携を取ることを、とにかく嫌がっていたのです」
多くのCEOがリーダーシップチームの問題について公言したがらないのには、相応の理由がある。筆者らの研究によると、リーダーシップチームの機能不全はよくあることだ。多くのチームが自社の利益拡大に向けて連携するのではなく、いつまでも動こうとしなかったり、社内政治や不毛な言い争いに明け暮れたり、ぬるま湯につかったりしている。それだけでなく彼らが率いているはずの企業にも、そのしわ寄せが及んでいる。
言うまでもなく、上級リーダーシップチームの内情はそれぞれ異なる。だが、筆者らの研究では、共通のパターンがいくつかあることがわかった。本稿では、リーダーシップチームが陥りやすい機能不全の類型を紹介する。そのうえで、リーダーがチーム固有の問題に対応し、アラインメント(方向性の一致)と高業績の実現に向けて踏み出すための改善策を提示する。
サメの水槽、ふれあい動物園、凡人集団
リーダーシップチームの機能不全は、大きく分けて3つのパターンのいずれかを示す傾向がある。1つ目は内部闘争と政治的な駆け引きを特徴とするもので、筆者らはこれを「サメの水槽」と呼んでいる。2つ目は対立回避や協力偏重が特徴の「ふれあい動物園」、3つ目は慢心、能力不足、過去の成功への執着を特徴とする「凡人集団」だ。これら3つは、いずれもチームと自社の業績に悪影響を及ぼし、等しく混乱を引き起こす。