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トヨタ自動車(Toyota Motor):継続的改善の力
トヨタの遺伝子
開発主査:製品開発を統べる者
トヨタ生産方式の習得法
トヨタのものづくり哲学
ザラ(ZARA):スペイン版「トヨタ生産方式」
BMW(Bayerische Motoren Werke):創造性を守るマネジメント
3M(3M):創発の製品開発力
伊プラト地区(Prato, Tascany, Itary):付加価値パートナーシップ
メイヨークリニック(Mayo Clinic):エビデンス・マネジメント
ワールプール(Whirlpool):消費者起点のSCM
リン・プロダクツ(Linn Products):一人生産方式は分業に勝る
トヨタ自動車(Toyota Motor)
継続的改善の力
Toyota Motor
1933年、豊田自動織機製作所(現在の豊田自動織機)内の自動車部に端を発し、1937年、前身であるトヨタ自動車工業として独立し、その後、着実な成長を続けた結果、2007年、生産台数、販売台数の両方において、ついにゼネラル・モーターズを上回り、世界最大の自動車メーカーになる見通し。
1|トヨタの遺伝子
H.ケント・ボウエン(H. Kent Bowen)
ハーバード・ビジネススクール ベーカー財団記念講座 教授
スティーブン J. スピア(Steven J. Spear)
インスティテュート・フォー・ヘルスケア・インプルーブメント上級研究員
トヨタ生産方式は、これまで世界中で徹底的に研究されてきた。にもかかわらず、同じように実践できたところはない。なぜだろうか。その秘密はトヨタのDNAとでも呼ぶべき「暗黙知」にこそある。
トヨタ生産方式をなぜ100%再現できないのか
トヨタ生産方式は、トヨタ自動車の卓越した業績の源泉であると喧伝されてきた。
このトヨタ生産方式の独特な手法、たとえばカンバン方式やQCサークルといったツールは、他社でも広く導入されている。
事実、ゼネラルモーターズ、フォード・モーター、クライスラーといった世界的な自動車メーカーは、トヨタ生産方式を真似た生産システムを独自に開発しようと、本格的に取り組んできた。航空機や重工業、消費財や生産財など、さまざまな産業でもトヨタ生産方式の導入が試みられてきた。
トヨタは驚くほどオープンにそのノウハウを披露してきた。しかし不思議なことに、上手に再現できたメーカーは皆無である。数千という企業から数十万人ものマネジャーがトヨタの工場(もちろんアメリカも)を訪問したが、トヨタに匹敵するような成果を上げることはできなかった。