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グローバル経済は
新興諸国の現地企業にも成長機会をもたらす
2003年、数カ月前に発売が開始されたばかりのマヒンドラ・アンド・マヒンドラ(M&M)のスマートなスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)〈スコーピオ〉は、CNBCインディアとBBCワールドの番組『ウィールズ』のSUV部門カー・オブ・ザ・イヤー賞をはじめ、さまざまな賞を受賞した。
これはなかなかの偉業である。ダイムラークラスラーの〈メルセデス・ベンツEクラス〉やトヨタ自動車のセダン〈カムリ〉など、世界的なベスト・セラー・カーを制して、インド製の自動車が最高の賞を受賞するのはたやすいことではない。
インド国内の半都市部および農村部向けの自動車に加えて、数カ国でトラクターを生産しているM&Mにとって、これらの受賞は、自社がついに世界の自動車メーカーと互角に競争できるようになったことを意味していた。
〈スコーピオ〉は、国内のSUV市場でトヨタの〈イノバ〉、ゼネラルモーターズ(GM)の〈シボレー・タベラ〉との競争でも勝利を収めつつあり、M&Mは早くも南アフリカとスペインでもこのSUVの販売を開始した。
年商17億3000万ドルのこのインド企業が世界の自動車業界の主要プレーヤーに成長しつつあるのは明らかである。
新興国企業で、このように世界で注目を集めているのはM&Mだけではない。過去20余年にわたる自由化の波によって、開発途上国の保護主義的な貿易障壁は、そのほとんどがなくなってしまった。
これらの国々がグローバル経済に組み込まれるにつれて、北米、西欧、日本、韓国の多国籍企業はこれら新興市場に参入していった。その結果、新興諸国の現地企業の多くが市場シェアを失ったり、事業を売却したりするはめになったが、いくつかの企業は多国籍企業の進出に反撃している。
これらの企業は多国籍企業の攻撃にも屈することなく、自社事業を再編し、新しいチャンスを見出し、今日では世界のライバルと互角に戦える世界標準企業へと成長している。このような新興市場の成長企業のうち、いくつかは国内市場だけでなく、さまざまな国外市場にも進出している。