-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
【HBR CASE STUDY】
[コメンテーター]
リューベン・マーク(Reuben Mark)コルゲート・パルモリーブ 会長兼CEO
レベッカ・レイ(Rebecca Ray)マスターカード・ワールドワイド シニア・バイス・プレジデント
ジョージ・マンダーリンク(George Manderlink)ハイドリック・アンド・ストラグルズ パートナー
デイビッド・ウルリッチ(David Ulrich)ミシガン大学 スティーブン M. ロス・スクール・オブ・ビジネス 教授
[ケース・ライター]
マイク・モリソン(Mike Morrison)ユニバーシティ・オブ・トヨタ バイス・プレジデント
*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。
無鉄砲な人材にリーダーは務まらない時代
「いま、ビルを出ていくところです。『スウィーティとスコッティ』を持っていこうとしていますよ」。アン・バクスターの手に握られた携帯電話から聞こえる、男性の低い声がそう伝えた。
バーカー・フーズの人事部長を務める彼女が困惑した表情で、CEOのコリン・アンソニーに目をやると、彼はすぐ向かいの席で、熱心に書類を読みながら、手のひらをそっけなく振った。「放っておけ」という万国共通の合図である。アンは電話の相手にこのメッセージを伝えた。
バーカーのチョコレート・糖菓部門の営業本部長をクビになったばかりのダグ・ロシアンが、警備員と人事部の若手社員に連れられて社屋から出ていこうとしているところだった。
彼が抱えている私物のなかには、アニメ映画『スウィーティとスコッティ』のセル画があった。これは、バーカー・フーズが1950年代末から60年代初頭にかけて広告に使っていたキャラクターである。