HBR賞は、ビジネス界、学術界のリーダーから成る独立した委員会により審査され、その年に米Harvard Business Review誌に発表された傑出した論文を賞するものである。同賞は以前、HBRマッキンゼー賞と称されており、実際的かつ革新的なマネジメントの考察を評価するため、1959年に設けられた。


審査委員

ジル・エイブリー
ハーバード・ビジネス・スクール 上級講師

クラウディオ・フェルナンデス=アラオス
元 エゴンゼンダー CEO

シーナ S. アイエンガー
コロンビア・ビジネススクール 教授

アレックス・リュー
カーニー 名誉会長兼パートナー

ミヒニア・モルドベアヌ
トロント大学 ロットマンスクール・オブ・マネジメント 教授

カシーク・ラマンナ
オックスフォード大学 教授

デイビッド A. トーマス
モアハウス大学 学長

第1位

“Leaders Must React”
by Nitin Nohria
[January-February 2024]

邦訳「優れたリーダーは『いま起きていること』の重大性を見極める」

ニティン・ノーリア
ハーバード・ビジネス・スクール 教授

[DHBR2024年5月号掲載]

 CEOが成功するには、説得力のあるビジョンを明確にし、そのビジョンに沿って人々を団結させ、その実行のために動機づける必要がある。けれども、トップリーダーの成否を左右する要素が1つ存在する。それは、予期せぬ出来事にリアルタイムでどう対応するかだ。

 本稿では、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の教授で元学長のニティン・ノーリアが、CEOが予期せぬ問題にどのように対処すべきかを検証する。彼の調査によると、CEOの時間の36%が予期せぬ問題に費やされているが、リーダーはすべての問題に注意を傾ける必要はない。ノーリアは、問題を「通常の雑音」(ノーマルノイズ)、「明瞭な呼びかけ」(クラリオンコール)、「警告のささやき」(ウィスパーウォーニング)、「惹きつけられる歌声」(セイレーンソング)の4カテゴリーに分類して必要な対処法を解説する。またCEOが重点を置くべき問題の意思決定に役立つフレームワークを提示する。