顧客セグメントからの営業改革

 年度が改まると、経営者は最重要課題である成長性について考え始める。すると、営業部門の問題がおのずと頭に浮かんでくるはずだ。営業のパフォーマンスはどうすれば上がるのか。新商品の成長を支える営業とはいかなるものか。

「それはインセンティブの問題である、つまりニンジンをうまく使えば、営業担当者はいっそう努力を傾ける」と考える経営者は少なくない。これは大きな間違いだ。なかにはもっと単純に、営業担当者の頭数を増やせば、売上げが増えると思っている人までいる。

 医療機器メーカー、ヒルロムの例は、まったく逆のことを示している。営業活動の改善には、次の3つのことが必要である。

・顧客を適切にセグメントすること

・各セグメントのニーズに効率よく対応できる組織システムを構築すること

・その組織にしかるべきスタッフを配置すること

 本稿ではヒルロムの手法を詳しく見ていくが、まずその背景について説明しておこう。3年前、ヒルロムは成熟産業にありがちな落とし穴、すなわち、企業体力は十分なのだが、発展性に欠けるという状態に陥っていた。