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チャネルに束縛されない
新たな消費者
これまであなたの顧客は支払った金額におおよそ見合う分だけを手に入れていた。ところがいまや、彼らはあちこちで企業の価値を横取りしている。
わずか数年前までは、小売店で買い物をする一般の人々は、店に出向き、商品のサイズ、デザイン、用途などについてアドバイスを受ければ、必ずと言ってよいほど、すぐその場でそれを購入した。
独自のサービスを求める顧客ならば、そのようなサービスを提供してくれる店を選び、プレミアム価格を支払っていた。また特売品ばかりを狙う買い物客ならば、不要なサービスはいっさい提供しない店を探した。選んだ流通チャネルが何であれ、彼らはほしいものを手に入れるまで、いつもと同じチャネルを利用した。
ところがいまや事情は一変した。現代の顧客は、チャネルからチャネルへと思うままに渡り歩く。人間同士が触れ合うチャネルが提供するハイタッチ・サービスも毎日のように利用するが、それとは別の、もっと安い価格で提供してくれるチャネルから商品を購入することもある。
費用を浮かせようと、カタログに一通り目を通してからモールへ買い物に出かけたり、旅行代理店に電話して航空運賃についてあれこれ聞いてからインターネットで航空券を購入したり、航空会社から直接購入するといった行為が、ごく当たり前に見られる。
その結果、企業は物理的能力や組織力といった「時代遅れの資産」を抱え込むはめになっている。これらの資産は巨額を投じて開発されたにもかかわらず、いまや日に日にお荷物と化している。
それは状況によって、高度なトレーニングを受けたものの十分活用されていない店員だったり、ほとんど売買が生じていない売り場だったり、陳腐化しつつある店頭在庫や流通在庫だったりする。
フォレスター・リサーチのアナリストによると、いまや全顧客の半分にも上る人々が、あるチャネルで情報を入手しても、いざ支払う段になると、そのチャネルから離れてしまうという。消費財とB2B(法人取引)に関する我々の顧客データもこの説を裏づけている。
これは目新しい話でも何でもないかもしれない。しかし、あなたはこのような動向に何らかの策を講じているだろうか。