-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
【HBR CASE STUDY】
[コメンテーター]
ボブ・ガムゴート(Bob Gamgort)マスターフーズUSA 社長
ミッシェル R.ネルソン(Michelle R. Nelson)ウィスコンシン大学 助教授
モゼール W. トンプソン(Mozelle W. Thompson)アメリカ連邦取引委員会 委員
マイク・シーハン(Mike Sheehan)ヒル・ホリデー・コナーズ・コスモプロス 社長兼CEO
[ケース・ライター]
M. エレン・ピーブルズ(M. Ellen Peebles)HBRシニア・エディター
*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称はのものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。
息子の額に張られた広告
「〈グレイ・グース〉のマティーニをちょうだい」。ローラ・ゴールデンバーグはバーテンに声をかけ、スツールに腰を下ろした。腕の〈ロレックス〉をちらりと見て、〈コーチ〉のバッグから『ハーバード・ビジネス・レビュー』を取り出し、パラパラとめくった。いらいらからなのか、せわしなく足で床を叩きながら、息子が現れるのを待った。
大学4年生の息子アレックスは、試験、スポーツ・クラブでのアルバイト、大勢の友人や女友だちとのつき合い、さらには立ち上げたeビジネスと、時間のやり繰りに苦労していた。
20分後、ようやく息子が店に入ってきた時、ローラのいらだちは驚きに変わった。何と息子の額に「ゴールドジム」という黄色の文字がでかでかと書かれていたのだ。
「いったいどうしたの。ハロウィン・パーティの帰り。それとも寮のジョーク。まさか、消えないわけじゃないでしょうね」。ローラは手を伸ばして文字を触ってみた。
「母さん」。母親の指を払いのけて、息子は言う。「ただの小遣い稼ぎさ。これを1週間つけると100ドルもらえるんだ。知ってるだろ、サイトを立ち上げたから、その維持費がいるんだよ。お金になることなら、何でもしているわけさ」