サマリー:プロジェクトエコノミー時代に必須のマネジメント手法、PPM(プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント)とは何なのか。PPMのリーディングカンパニーであるプラニスウェア・ジャパンのCEOが語る。

かつてないスピードで急激に変化する経営環境。その速さに俊敏に対応するには、従来の縦割り組織による事業活動から、プロジェクトを中心とした価値を創出する活動へと舵を切る必要がある。そこで重要となるのは、限られた資金やリソースを有効に配分し、決められた期間内に成果を挙げるため、正しいプロジェクトを選び、正しく実行すること。それを可能にするマネジメント手法として注目されているのが、PPM(プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント)だ。

正しいプロジェクトを選び、正しく実行できる仕組みを

 AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展、新興国企業の台頭、サステナビリティへの意識の高まり、顧客ニーズの多様化など、企業を取り巻く経営環境は、かつてないスピードで急激に変化している。将来に対する不確実性が高まる中、企業に求められているのは、変化の速さに俊敏かつ柔軟に対応できる戦略的アジリティ(俊敏性)を備えることだ。

 しかし、「従来の縦割り組織では、変化へのアジャイル(俊敏)な適応は困難です。そこで、加速する環境変化に適応する方法として、組織ではなくプロジェクトを中心とした事業活動の促進が必要とされているのです」。そう語るのは、PPM(プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント)ソフトウェアの世界的なリーディング企業、プラニスウェア・ジャパンのCEOを務めるパトリック・タニエ氏である。

 タニエ氏は、「変化と変革が常態化する経営環境においては、プロジェクトを中心とした経済・企業活動、すなわち『プロジェクトエコノミー』が加速します。すでに世界中の多くの企業や政府が、組織横断的なプロジェクトをいくつも立ち上げ、変化に適応しようと試みています」と説明する。

 経営を取り巻く環境変化の種類は多岐にわたる。そのため、一つの企業や政府の中でも、イノベーション関連、デジタル関連、トランスフォーメーション関連、サステナビリティ関連など、膨大な数のプロジェクトが同時進行で動いている(複数のプロジェクトを統合し、全体に対するガバナンスを利かせて価値をつくっていくプログラムとしてマネジメントする場合もある)。そこで問題となるのが、限られた資金やリソースをいかに適切に配分するかということだ。