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90%のマネジャーがムダな活動に時間を浪費している
おそらく、どの企業幹部に聞いても、最も足りないリソースとして挙げるのは、「時間」だろう。
彼らは、それこそ分刻みで企業戦略上の問題や、コスト削減、新市場へのクリエイティブなアプローチの策定、そして新たに出現する競争相手との戦いに取り組んでいる。
だが、その動きを間近で観察してみると、会議から会議へ駆け回り、eメールを絶え間なくチェックし、次から次へと起きる緊急事態に対処し、数え切れないほど何度も電話で話し合いをしている実態が明らかになる。つまり、彼らは驚くばかりの敏捷さで動き回っており、立ち止まって、思案する時間などない状態なのだ。
たしかに、企業幹部は、好業績への途方もないプレッシャーにさらされ、一日12時間働いても追いつかないほどの仕事を抱えている。
しかしながら、時間を可能な限り有効に使っているマネジャーは、ごく限られている。彼らは、緊急を要する問題に対処しているつもりだが、実は空回りしているにすぎないことも多い。
我々が「アクティブ・ノンアクション」(多動空転)と呼ぶ、このような非生産的な多忙状態が、マネジャーの落とし穴の一つであるという認識は特に目新しいものではない。
マネジャー自身がこの問題を嘆いており、スタンフォード・ビジネススクールで組織行動学の教授を務めるジェフリー・フェッファーやスタンフォード・エンジニアリングスクールで組織行動学の教授を務めるロバート I. サットンなどの研究者も、この問題を研究している(HBR誌1999年5-6月号"The Smart-Talk Trap"〈(邦訳「能弁の罠が知の実践を阻む」『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス』1999年9月号〉を参照)。
しかし、こうした行動を生み出すダイナミックスについては、十分に理解されていない。