「Cクラス社員」をマネジメントせよ

 経験豊富なエグゼクティブならば、優秀な人材の確保が企業繁栄のポイントであることに、異を唱える人はいないだろう。

 一方で、人材マネジメントに厳格かつ一貫したポリシーを持っている企業は少ない。社員の業績を相対評価するという最も基本的な作業でさえおぼつかない場合が多く、そうした評価を適切に活かしている企業ともなると、ほとんど存在しないだろう。

 特にひどいのは、業績が平均に満たない社員の扱い方である。いわゆる「Aクラス社員」ないしは「Bクラス社員」ならば、採用活動や能力開発も楽しいし、引き止める時もおのずと熱が入るものだ。しかし、「Cクラス社員」は扱うのがうっとうしいだけなので、ほったらかされている場合も多い。

 昨今は景気も振るわず、トップ・マネジメント層の削減はもちろん、社員の業績も厳しく評価していく必要がある。ただしダウンサイジングは、うまく遂行しないと「人選がいいかげんなのでは」という印象を与えてしまう。

 マネジャーの業績は、普段からシステマティックかつ厳格に評価しておかないと、会社の状態が悪くなった時「いいかげんに決めているのではないか」と社員から疑われてしまうかもしれない。業績のよくないマネジャーを減らすように努力することは、会社の状態の善し悪しに限らず、組織の活力を維持するうえで大切である。

 筆者たちは、優秀な人材を揃えるためには何が必要なのか、5年前から調査を続けてきた。112社のマネジャー1万3000人から協力を得たほか、優秀な人材が揃っていることで定評のある27社についてケーススタディを実施すると共に、人的資源の強化を図る企業100社以上に対して、きめ細やかなコンサルタント・サービスを提供してきた。

 この結果我々は、「企業が成功するためにはCクラス社員のマネジメントが、AないしはBクラス社員に劣らず重要」と考えるようになった。実際、好業績を上げている企業は、平均的な企業と比較して、Cクラス社員を入念にマネジメントしているケースが33%も多い。