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変革リーダーたちの共創的対話から、AI時代における価値創造のあり方を探索する「X DIVE」(クロスダイブ)。プレイドが主催した同カンファレンスの取材記事第3弾となる本稿では、最後を飾ったクロージングキーノートセッションをリポートする。スピーカーは、三井住友フィナンシャルグループのグループCDIOである磯和啓雄氏と、カルチュア・コンビニエンス・クラブの代表取締役社長兼CEOである髙橋誉則氏。 両氏の具体的な挑戦をひも解き、イノベーションを継続的に生み出す組織のキードライバー、そしてAI時代における組織の未来像を、熱を帯びた対話を通じて浮き彫りにした。
二人の経営者が語る「これまでの挑戦」
クロージングキーノートセッションは、モデレーターを務めたU-ZERO代表取締役CEO兼CPO(最高製品責任者)の三村真宗氏の進行の下、まず磯和啓雄氏と髙橋誉則氏が「これまでの挑戦」を語ることから始まった。
三井住友フィナンシャルグループのグループCDIOを務める磯和氏は、入行後25年間は法人業務や人事を担当していたが、10年前にリテールマーケティング部長に就任して以来、デジタル領域を牽引してきた経歴を持つ。600万アカウントを突破した個人向け総合金融サービス「Olive」(オリーブ)の前身であるインターネットバンキングアプリの開発やUX(ユーザーエクスペリエンス)向上、さらには「Bank Pay・ことら」といったオンライン決済の商品・営業企画を指揮してきた。
磯和氏が直近の挑戦として挙げたのは、2025年5月にリリースされた法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk」(トランク)である。Oliveよりも早い2019年から、本商品につながる布石を打ち始めた。磯和氏は「法人向けインターネットバンキングの使い勝手をよくするために、6年かけて刷新してきたサービスの集大成だ」と強調する。法人ネットバンキングの口座開設の所管部署を移管し、法人向けコンタクトセンターを設立するところから始め、一つひとつの機能を最終的に統合することを見据えて開発を進めてきたという。
電子契約サービス「SMBCクラウドサイン」などのデジタル新事業で中小企業の顧客を大きく増やした経験から、「ネットバンキングサービスも使い勝手がよければ、これまで三井住友銀行に口座のなかった中小企業やベンチャー企業にもご利用いただけるという確信があった」と磯和氏は語る。トランクは、最短翌営業日の口座開設という「スピーディなサービス」や、業界最安値水準の振込手数料などを強みとして、リリースから2カ月で、これまで取引のなかった法人1万件の新規口座開設を達成した。
この実績を背景に磯和氏は、イノベーションを生む組織には「5年先、10年先を見据えて成長戦略を考え続けること」「成長戦略に沿った事業化を『顧客ニーズ』に基づいて『機会』も考慮しながら形づくっていくこと」、そして「事業化に必要なパーツ(要素)を統合するよう次世代のリーダーに引き継ぐこと」が不可欠だと述べた。
続いて、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の髙橋氏が自身の挑戦を語った。