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著書『ピクサー流』の改訂版に込めた思い
この本『新・ピクサー流 創造するちから』は本質的に、人々がのびのび働ける組織文化をどう築くかについて、私たち一人ひとり(とりわけリーダー)が考えるきっかけになることを意図した試みだった。その文化とは、「わからないこと」(つまり助けを求める必要があること)が、弱さではなく、強さの証とみなされる文化だ。
良いアイデアは誰からでも生まれる可能性があるのだから、誰もが貢献できると感じられるようにするのがリーダーの務めだ。しかし、ある一瞬やある状況でそれができたからといって、それで問題が永久になくなるわけではない。私はこの点をずっと自分に問い続けてきた。「創造する企業を率いるリーダーの仕事には終わりがないことを、初版で曖昧に書きすぎてしまわなかったか」と。もしそうなら、その改善策として改訂版を出し、明確にし、強調し直し、必要に応じてその後私の考えがどう進化してきたかも知ってもらうのはどうだろうか、と。
担当編集者とこのことを話し合ううちに、あるアイデアにたどり着いた。現在の私の考えのどんなところが、どんなふうに当時から発展し、あるいは変わったかを包み隠さず明かしてはどうか。それこそが、変化が不可避であるという主張を私自身が体現することになるのではないか、と。
そこで私たちが決めた構成は、2014年の時点で私が事実と異なる記述をした数カ所を訂正する以外は、原文をそのまま残す。たとえば、「『トイ・ストーリー』が19年前に公開された」という記述は(今から数えると28年近くになるが)書き換えない。この本がある特定の時代を捉えようとしたことを読者が理解してくれると信じて。しかし、もっと詳細な説明に値すると判断した部分には、原文に注釈を入れ、その章の終わりに、その内容に関する新たな、または発展させた考えを補遺として追記する。
その編集方針の結果が、あなたが手にしている本書『新・ピクサー流 創造するちから』である。4つの追記と2つの新章が加わった。第14章「ノーツデーの余波」は、ピクサーがスタジオの欠点や問題点を率直に洗い出すことで再活性化を試みた2013年のノーツデーについて記した第13章の続きだ。
ノーツデーのもともとの目的は、一本の映画を制作するのに要する「人週」(一人が一週間で行うことのできる作業量)を10パーセント削減する方法を見つけることだった。スタジオを丸一日休業にして対策を議論し、そこで出たアイデアによって予算削減と効率化を果たした。しかしノーツデーでは、それだけでなく、もっと根深い問題も露呈した。スタジオの文化と基本理念とのズレが原因だった。私たちはそれから何年もかけて、その日に学んだ教訓を組織に反映させることになる。一部の領域に関するその作業は、今も続いている。ピクサーがこの難しい課題に真正面から取り組んでくれたことに感謝している。それがその後どう働いているかをお伝えすることが何かのお役に立てば幸いだ。
第15章「創造性を組み込む」では、今なお考え続けているテーマ――権力乱用の防止、遊び心の奨励、人間らしい感情の重視、そして実験の推奨――について書き足した。また、最初の本では触れなかったことを明かした。ピクサーが初の長編コンピュータアニメーション映画の製作に成功した後、私が人生の新たな目的を見出そうともがいていたことを覚えておられるだろうか。実は『トイ・ストーリー』の公開直後、私にはもう一つ同時に悩まされていた問題があった。初版では触れなかったが、今回はマネジャーの皆さんの助けになることを願って、余さず取り上げた。
多くの経営者は、自分の在任中に悪いことが起こらないよう手を尽くす、と言う。「私の任期中はない」という言葉だ。私の目標は、とりわけ2019年に引退が迫るにつれて、私の後を継ぐリーダーたちが、私の任期「後」にも必ず発生するであろう問題に対処できるようにすることだった。私にとっては、動的で創造的な文化を築くこと自体が創造的な行為だ。それに匹敵するものはひとつしか思い浮かばない。子育てだ。どちらも年中無休、予測不能の喜びと困難が多くある。そしてどちらも自分自身の内面を深く探らなければできない。
ピクサーに始まり、のちにディズニー・アニメーションでも、私は健全で適応力のある組織文化をつくる力になりたいと思っていた。失敗も成功も、さらにはトップや創業者の退任も乗り越えられる文化を。本書『新・ピクサー流 創造するちから』を通じて、それがどのように作用し(あるいはしないか)について対話を続けたいと願っている。
2023年1月
エド・キャットムル
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書籍『新・ピクサー流 創造するちから』から、「新版への序文」全文と、同書の目次をPDF形式にして期間限定(2027年1月31日まで)でプレゼント中です。
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謙虚さと心理的安全性でピクサーを率いた創造的組織づくりの秘密
『新・ピクサー流 創造するちから』
[著者]エド・キャットムル、エイミー・ワラス
[翻訳]石原 薫
[内容紹介]カリスマ性ではなく謙虚さと心理的安全性でピクサーを率いた「静かなリーダー」が創造的組織づくりの秘密を語る。あのスティーブ・ジョブズと鬼才ジョン・ラセター、三人でタッグを組んで、ピクサーを唯一無二のエンタテイメント企業に押し上げた、その歩みと努力、試行錯誤のすべてが詰まった完全版であり最終版。
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