こうしたニーズの高まりを背景に、SASが提供しているソリューションが〈SAS High-Performance Analytics〉(HPA)である。
HPAは、並列処理を駆使してビッグデータをきわめて高速に分析することで、タイムリーな洞察と正確な予測をもたらす。入手できるあらゆるデータを基に、いままでできなかった何十通りものシミュレーションを瞬時に行うことも可能になる。すなわち、コンピュータの計算のために取られてしまっていた時間を、経営者の元へと戻すのだ。
従来のBIは、夜間バッチ処理でデータ・ウエアハウスを構築したり、分析の切り口ごとにデータ・マートを生成したりして使うものであり、結果を得るまでに時間がかかっていた。しかし、起きつつあることを把握するのに一週間かかるようでは、次のアクションの意味がなくなってしまう。
「HPAで高速分析するということは、ニューヨークへ行くのに14時間程度かかるという時代に、一瞬でワープする方法を手に入れたようなものです。企業の規模にかかわらず、従来は想像もできなかったようなアクションが打てるようになる。つまり、ビジネスのルールを根本的に変えることができるのです」(吉田社長)
試合途中で交代した途端に流れを一気に有利に変えてしまう選手のことを「ゲーム・チェンジャー」(game changer)と呼ぶが、HPAはまさしく、企業のイノベーションと成長を促す「ビジネスのゲーム・チェンジャー」になりうるのだ。
業務プロセスに組み込み
分析サイクルを回す
ビッグデータ分析で効果を上げるためには、ツールや技術の導入だけでは不十分だ。吉田社長は、日本企業が取り組むべき「ビッグデータ対策」として次の四本柱を挙げる。

図表 ビッグデータ活用を成功させる秘訣
第一は、適切なITシステムを導入すること。第二は、社員の分析スキルの獲得・向上。第三に、業務プロセスへの組み込み。分析し、行動を変え、その結果をまたすぐに分析して評価し、分析のやり方も最適化していくというサイクルを、日常的に回していかなければならない。そして第四に、実データの分析結果をベースに意思決定する企業文化を浸透させることが大切だ。
日本企業の多くは、優れた企業であるほど、コスト削減策も改善活動もやり尽くして、「これ以上はもう改善できない」というところまで追い込まれている。そこで必要なのは、さらに血肉を削ることではなく、仕事のやり方、ルール、コア・コンピタンスを根本から変えることではないだろうか。
日本企業にイノベーションをもたらし、競争力を「チェンジ・アップ」するために、ビッグデータ分析というゲーム・チェンジャーを一日も早く投入したい。
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