経営資源・知財として
ビッグデータを最大限に活かす

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データの価値を定量化するのは容易ではない

 知財としてのデータの保護と流通を加速するためには、データの価値に対する概念の確立が欠かせない。しかし、データの価値を定量化するのは容易ではない。あるデータがどのような価値を生むかは、分析してみないとわからないし、そもそも「データの再目的化」というのは、今までに知られていなかったデータの価値を求める考え方であるからである。従って、データの価値は、そのデータが将来どのような価値を生むか、という投機的な判断も含む主観的なものになる。

 経済の世界では、主観的な価値判断に基づいて物事の価格を決めることは日常行われていることであり、このためのメカニズムの一つが市場原理である。知財にも、この市場原理を持ち込もうという議論があるが、残念ながら特許権などについての知財には市場原理メカニズムがなく、これらの知財の価値については不透明な状態が続いている。これを反面教師とし、データの保護と流通を加速するために、市場原理に基づく価値の透明化を望みたい。

 データの価値の透明化ができれば、データの収集・送信・保管などにどれだけの投資をしてよいかについての判断基準にもなる。ビッグデータの時代には、データ全体の価値はより高まるが、同時に1ビットあたりの価値は低下していく傾向にある。データの格納にかかるコストも馬鹿にならないので、すべてのセンサー・データをデータセンターに送って高価なストレージ装置に格納するのは無駄かもしれない。価値の高いデータは保管し、現在利用目的がなく、将来もあまり利用方法が望めないデータは積極的に捨てるなどの戦略が必要だろう。

 


[参考文献]
[1] IT融合フォーラム有識者会議, Kick-Off Statement,
http://www.meti.go.jp/press/2012/06/20120618003/20120618003-2.pdf, 2012.


 

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