グローバル化の「5W1H」を再検証する

 企業のグローバル化の進化形態として、「GIE」(Globally Integrated Enterprise)という考え方がある。IBMのCEOであるサミュエル・パルミサーノが2006年に『FOREIN AFFAIRS』に発表した、一つのモデルである。

  企業は、海外で売る・つくるという「国際企業」から、海外への権限移譲を進める「多国籍企業」へと変身し、そして、地球で一つの会社となる、つまり世界中 で一番ふさわしい場所に事業機能を分散させ、適正な場所で、適正な時期に、適正な価格で経営資源を最適化するグローバル企業へと進化を遂げるモデルだ。

 実際、IBMはGIEへの変身を実践し、それを体現して見せている。成功体験を足かせとせずに、常にグローバル企業としての変革を模索する姿勢は、企業のグローバル化を推進するうえで大変に参考になると思う。

 もちろん、IBMが成功しているからといって、ただコピーすれば良いわけではない。テクノロジーを事業の軸とするIBMと、コンシューマー系の企業では、カスタマイズが必要など違いもあるだろう。

  日本企業はいま、そのグローバル展開のために、事業を「5W1H」で見直す必要がある。グローバル化の基本に立ち返り、いつ、どこで、誰が、どんな商品で、 どのように事業を展開すべきなのか、それはなぜなのか、を再検証すべきなのである。自社のユニークな強みは何なのか、どの市場であれば、自社の製品は強みを発揮できるのか、そのためにはいま何をすべきかなど。

 自社にとってのグローバル化とは何なのか、何を目指しているのか、という基本的なテーマをもう一度見直すことが必要だろう。グローバル化だからといって、すべての企業が世界を対象にする必要はない。ユニチャームのように、「ア ジアで一番になる」という戦略も、きわめて優れた「5W1H」の展開だ。小さなベストプラクティスが、グローバル企業への変身を強く促すはずである。

 そこでは、経営トップのイマジネーションが問われる。かなり明確な自社像をイメージできなければ、グローバル化への変身を推進できない。もちろん、それができないトップであれば、トップの存在そのものがグローバル化を阻害する最大の要因になることは言うまでもない。

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