大胆な変革を遂行するために

 会社の事業に多大な影響を及ぼす、大胆で革新的なプロジェクトのアイデアを思いついたとしよう。しかし、そのアイデアは社内の抵抗に遭いそうな気がする。イノベーションは現状を覆すことを意味するので、他部門がこれを潰しにかかる可能性が高い。さて、どうするか。

 昔からよくいわれる、簡単な答えがある。「トップの了解を取れ」。イノベーションの達人たちがいみじくも指摘するように、企業の決裁ルートを無事通り抜けることができるのは、現状と大して変わらないアイデアだけである。アイデアが独創的であればあるほど、縄張り争いや近視眼的なインセンティブ・システムの煽りを食ったり、単なる変化への抵抗に遭ったりする危険も大きい。

 こうした理由から、イノベーター、すなわち革新的な人々は、まっすぐ経営トップのところへ行って支援を取りつけ、全社的な切迫感を生むことでアイデアを正当化せよ、と助言されることが多い。