「経済的発展において最大の資源になるのは、資本や原料ではなく人間である」というP.F.ドラッカーの名言が思い出されますが、アルーでは具体的にはどういった研修プログラムで人を育てようとしているのですか。

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「1.テーマ別(ビジネススキル・創造性開発・ダイバーシティなど)」「2.対象者別(新人若手・中堅・管理職向け)」「3.国別(中国・インド・ベトナム・ミャンマーなどアジア諸国中心)」に多様な研修があり、参加企業の課題や戦略に応じて、さまざまなプログラムをカスタマイズしています。
グローバル人材育成、社員研修ともに「100本ノック」というアプローチを取るプログラムが多いのが特徴です。例えば「中国のビジネス動向基本100本ノック」や「グローバル部下マネージメント100本ノック」といった研修です。
「100本ノック」の狙いは、繰り返し実践することで、研修後に職場や業務で知識の定着化を図ることです。まず「習うより慣れろ」です。
「ロジカルに、身に付くまでやる」
アルー式海外研修が自主性を生む理由
たしかに、反復練習によって必要な筋肉が身に付いていないと研修の意義も半減します。「100本ノック」はスポーツのトレーニングに近い印象を受けますが、いわゆる体育会系ではなく、ロジカルな手法を駆使して人材を育てるという考え方が根本にあるのですね。
「身に付くまでやる」は大切にしているメソッドで、海外研修でもメニューはみっちりこなしていただきます。例えば、インドでの2カ月間の研修で、「現地でどういうビジネス展開が考えられるのか」という課題を出したとします。
その場合、事前に自身で仮説を立てた上で企業や消費者にインタビューしたり、学生とディスカッションしたりしながら、その仮説を検証するトレーニングを積んでもらいます。この時の「百聞は一見にしかず」の体験が貴重なのです。日本で学んでいる間は、インドでは空港から車で走ってみるとどれだけ信号が少ないかとか、どれだけ道路が舗装されてないか、といったことは想像もできないわけです。
やがて、「日本とは違うんだな」ということで、仮説が何回も覆される体験をされると思いますが、その検証を何週間も続けるうちに、「違うと思っていたが、実はこういうところは共通なのでは」という部分も見え始め、気付きが徐々に深まっていく。こうした体験をしていただきたいのです。そこまでやった人は強いのです。
マレーシアで研修をされたある企業では、参加者が自発的にアンケートを作成して街中で配り、何百枚も回収していた例もありました。