石倉 八木さんが大事にされている仕事の仕方はどんなことでしょうか。

松村 管理型ではなく、非常にオープンマインドでダイレクトなコミュニケーションを重視していますね。しかも早い決断を求められます。
 また、先ほどのアイデンティティの形成にも関係する話ですが、藤森も八木も、事あるごとに「トークセッション」「ラウンドテーブル」を開催してグローバル化の意義や取り組みを説明しています。LIXILが各地で行う商品展示会では、閉場後に周辺に勤務する社員が参加して、藤森や八木とトークセッションを行いました。

石倉 グローバル化、グローバル人材の育成の軸を、リーダーに置くのは、多数の優れたリーダーを輩出してきたGEの人材育成の特色ですね。やはり藤森さんも八木さんもGEのご出身なので、GEのやり方を参考になさっているのでしょうね。

松村 そうですね。GEというグローバルカンパニーでの経験を活かして、藤森と八木でLIXIL流の人材育成を行っています。

石倉 グローバル人材を育成する専門の部署はあるのですか。

松村 人材育成の専門部署がリーダーシップトレーニングを行っています。他にも、若手社員を対象にMBA取得を目的に派遣する制度を設け、世界で活躍できるリーダーを育てています。

石倉 私は、グローバル化について、企業のトップがバーンと宣言し、ガッツで取り組めばよいと考えています。強気で世界のリーダーになる! とぶち上げればよいと思うのですが、日本のトップはまだまだ朝令暮改と取られるのを怖れるのか、言ってできなかったらどうしようと考えるせいか、弱気なところがあります。ファーストリテイリングやソフトバンクのように、ドカーンとグローバル化宣言をして取り組めば、自ずと道は開けるものです。日本政府も「人材の開国」といってはいますが本格的にスピーディに実行する施策がまだ見えず、藤森さんが新聞で「日本は開国すると言っているが、本気ではない」とコメントされていたように、私もまったく同感です。

論理的な展開と
スピード感のある決断

石倉 グローバル化といえば、ダイバーシティの実践も必要だと思いますが、LIXILのダイバーシティ対策、特に女性活用は、どんな状況ですか。

松村 女性活用は、今まさに進めているところです。女性管理職はLIXIL発足当時に比べ、3.5倍になりました。採用面でも30%以上がダイバーシティタレントになっています。もちろん先にお話ししたリーダーシップトレーニングやトップフォーラムにも女性を積極的に参加させています。女性の活用が盛んだった百貨店業界での経験を活かして、次世代の女性を育てる後押しをしたいですね。