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「顧客のためにほかに何ができるか」
よく知られていることだが、多くの産業では今日、調達、生産、物流といった「川上」の活動は陳腐化やアウトソーシングが進んでいる。その一方、顧客のコストやリスクを減らすための「川下」の活動は、ますます価値創出のドライバーとなり、競争優位の源泉となっている。
消費者が〈コカ・コーラ〉1缶を買う場合を考えてみよう。スーパーマーケットや会員制の大型ディスカウント店でなら、それは24缶パックのなかの1つとして購入される。価格は1缶当たり約25セントだ。ところがその同じ消費者が、夏の暑い日に公園にいて喉が渇いたら、1缶2ドルの冷えたコーラを自動販売機で迷わず購入する。
700%の価格プレミアムが生じるのは、商品そのものが優れているからでも差別化されているからでもない。商品入手の利便性が向上したからだ。つまり顧客が重視するのは、「24缶パックを忘れずに買っておき、1缶だけ取り出して残りをしまう場所を探し、その1缶を一日中持ち運び、喉が渇くまでどうやって冷やしておくかを考える」必要がないことである。