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目的がもたらすさまざまな効果
人生で最も重要な日は2日ある。生まれた日と、生まれた理由を知った日だ。
──マーク・トウェイン
ここ5年間で、目的主導型のリーダーシップへの関心が飛躍的に高まった。学界では、企業幹部の最も重要な役割は組織の目的を管理することだという説得力のある議論が展開されている。ビジネスの専門家は、目的こそ比類ないパフォーマンスを実現する秘訣だと主張する。心理学者によれば、目的を持つことはより大きな幸せへと続く道だという。
医師の研究結果では、人生に目的を持った人は病気になりにくいことまで判明した。今日の世界では刻々と戦略が移り変わり、明確に良し悪しを判断できることはほとんどない。この複雑、不安定、不透明な時代を生き抜くカギとして、目的の重要性がますます声高に叫ばれるようになっている。
このような理解が広まってはいるものの、大きな問題が残っている。我々はゼネラル・エレクトリック(GE)からガールスカウトまで、組織を率いる何千人ものマネジャーを対象に研修を実施し、何千人もの企業幹部やハーバード・ビジネス・スクールの学生たちを指導してきた。その結果わかったのは、個人的な目的をはっきりと認識しているリーダーは20%に満たないということである。そして、自分の目的を明確なステートメントとして表現できる者はさらに少ない。リーダーに所属組織のミッションを問えば、明快な答えが返ってくるだろう。たとえばグーグルならば「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」、チャールズ・シュワブならば「いつも、いつまでも個人投資家の側に立つ」である。