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有望だが参入障壁の高い農村部市場
都市部における消費財の需要は世界的に低迷が続いているが、一部の巨大新興国では農村部市場がかつてない勢いで伸びている。賃金の上昇に伴って中間層が拡大しており、中国、メキシコ、南アフリカといった国では、農村部の住民が都市部住民よりも今後の賃金上昇に対して楽観的な見方を示している。中国では、農村部の需要がすでに都市部の需要を上回り始めた。
なかでもインドほど、この状況が顕著な国はない。2009年から12年にかけて、8億人を超える農村部の住民の支出額は690億ドルに達し、同時期に都市部住民が支出した金額を約25%上回った。しかも、予想成長率はただ驚くばかりである。ニールセンの最近の予測によると、インド農村部の消費は都市部の1.5倍の伸びを示し、今日120億ドル規模の農村部の消費財市場は2025年までに1000億ドルに達する見通しだ。
さらにインド農村部の住民は、より上位の製品やサービスに移行している。可処分所得が増えるにつれ、ありふれた日用品がブランド製品に取って代わり、新規購入層向け製品がより高価な製品に置き換わっている。購買力が上昇しているのはおおむね、製造業の雇用が確実に農村部に移っているからだ。クレディ・スイスの推定によると、この10年間でインドに開設された工場の75%近くが農村部に設立されている。これら農村部の工場は今日、同国の製造業が生み出すGDPの55%近く、製造業の新規雇用総数の70%を占める。これを受け、国民1人当たりGDPは2000年以降、農村部で年平均6.2%のペースで伸びており、都市部の4.7%を上回っている。