ビジネスリーダーがとるべき8つの方法
エコシステムの広がる世界では、従来は企業同士の対立軸だった“Wicked Problem(厳しい問題)”ほど、参加者から多くの貢献を引き出す“Wicked Opportunities(素晴らしい機会)”になる。また、所有よりも関係性にスポットが当たるため資産価値が見直され、企業のポートフォリオ再構築も促される。これらの変化は、現在のリーディングカンパニーのKSF(Key Success Factor)を根底から変化させ、大企業に戦略やビジネスモデル、リーダーシップ、コア・コンピタンス、価値を生み出し収益につなげる仕組みや組織の改革を迫る。
エコシステムの秘密が全て明らかになるには30年、そして我々がとるべき基本的な戦略を発見するにはさらに20年を要すると思われるが、“Business Ecosystems come of age”では、将来のビジネスリーダーがとるべき以下8つの方法を探り、示唆している。
●複数の産業の垣根を超えて、「可能性の組み合わせ」によって新たな価値を生む
●新たなソリューションで社会変革を促し、利益と社会貢献を追求する
●市場での新しいソリューションが、公益を侵害しないよう気を配る
●サプライチェーンを自動化と信頼で結び、「価値の連鎖」をつくる
●所有の意味が薄れる中で、関係性に焦点を当てて資産を再定義する
●起業や才能ある人の参加を容易にするプラットフォームをつくる
●既存のビジネスや組織を壊さずに、起業家の示唆を受けながら変革していく
●デザインの領域で、新たなコア・コンピタンスをつかむ
新たな成長の可能性をつかむヒント
レポートの紹介は以上となるが、日本企業においても、国内市場が縮小する中でさらなる成長を目指すため、業界の中で協調して投資したり、製品のアフターサービスを含めた隣接領域とのネットワーク化を模索したりする動きが見られる。エコシステムがもたらす変化を脅威と捉えるか、「可能性の組み合わせ」を信じて機会と捉えるか。ビジネスリーダーは、変化への適応力や確信を伴う行動力を試されることになる。
一部に明るい兆しも見えるが、閉塞感が漂う中でこの先の持続的な成長を真剣に考える時期にある日本企業は、今こそビジネスを「関係性」に焦点を当てて捉え直すべきであり、“Business Ecosystems come of age”はそのヒントになるだろう。
※ビジネス・エコシステムで捉える未来に向けた戦略については下記のレポートを参照されたい。
“Business Ecosystems come of age” April 15,2015, Deloitte