個人にもチームにも悪影響を及ぼすバーンアウト

 経営者の人生には、膨大な仕事量と締め切りの重圧が付きまとう。途方に暮れてしまったり、精神的に参ってしまったりする時もある。しかし、絶え間ない仕事のストレスによって、バーンアウト(燃え尽き症候群)と呼ばれる消耗状態に追い込まれたら、問題は深刻である。本人の業績と健康という公私両面だけではなく、チームや組織にも悪影響が及ぶからだ。

 バーンアウトという言葉は、ストレスとは異なる臨床用語として、いまだ確立されていない。このため、蔓延の度合いについて確かなデータを見つけるのは困難である。一部の研究者らは、バーンアウトにより深刻なダメージを受けたことのある職業人はわずか7%だと言う。ところが別の研究者らによると、医療分野では50%、金融分野では85%がこれに該当するそうだ。

 2013年にコムサイクが、北米の労働者5100人余りを対象に調査したところ、62%が重度のストレス、自己コントロールの喪失、極度の疲労を感じていることを突き止めた。この調査では、バーンアウトが冠動脈疾患、高血圧、睡眠障害、抑鬱、不安神経症のみならず、アルコール摂取量の増加や薬物依存症など、多くの身体的および精神的疾患と関わりがあることもわかった。さらに、バーンアウトは徒労感や疎外感をもたらし、良好な人間関係を損ねるうえに、長期的なキャリアの可能性を閉ざしてしまうことも判明している。