――スマートフォンというテクノロジーとサービスへのこだわり、まさにKDDIならではの強みでもありますね。

 最後に「共創によるチャレンジ」として意識しているのは、金融取引の自由化に先んじて新たなネットバンクの立ち上げに挑戦した三菱東京UFJ銀行様と、モバイル事業を中核に置きながらも、ライフデザイン企業としてお客さまに寄り添ったサービスの提供を目指すKDDIの思想をうまく掛け合わせることです。

 単なる新しい金融機関を創り上げるということではなく、ライフデザイン企業を目指すKDDIが提供する保険や通販、電気などさまざまなサービスと組み合わせてじぶん銀行を提供することで、継続的にお客さまとのタッチポイントを確保し、お客さまの生活の中でさらなる価値を生み出せると考えています。

 これら3つの"こだわり"をもって、まさに「相棒のような存在」を目指していったわけです。

"こだわり"が成し遂げた
金融業の変革と、その成功の"秘訣"

――じぶん銀行はモバイルで完結する銀行という新しい金融の形を創り上げ、通信と金融の融合という業態変革を成し遂げました。これはまさに、世界中で大きな潮流となっているデジタルトランスフォーメーションを先取りしていたように思えます。

 当時はデジタルトランスフォーメーションという言葉もありませんでしたし、我々はお客さまのニーズに合わせて、「手のひらの上の銀行」というコンセプトの実現に取り組んできただけです。ただ結果として、リアル店舗を持たず、すべてのサービスをモバイル上で展開するといった、まったく新しい金融業の形を見出せたことも事実です。じぶん銀行はデジタルトランスフォーメーションを先取りして、通信業と金融業の融合という業界の枠を超えた新しい変革を生み出したといえるかもしれません。

 そうした点を評価いただいてか、じぶん銀行は米国の業界団体BAI(Bank Administration Institute)の「革新的ビジネスモデル賞」、シンガポールの銀行専門誌 The Asian Bankerの「ベストビジネスモデル賞」および「最優秀ネット銀行賞」など、国内外で多くのアワードを受賞させていただきました。海外ではじぶん銀行をモデルにしたモバイルバンクの設立も相次いでいると聞いています。