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リーダー人材は何を期待されているのか
上司と部下の関係がいかに重要か、またそれがチームの業績にどれくらい影響を及ぼすのかについては十分理解されているだろう。実際、リーダーの資質、公平性、信頼に関する著作は山ほどある。
ところが、「リーダーたる者、周囲から何を期待されているか」に関する考察はきわめて少ない。私が長年にわたって観察したところ、特定の振る舞いが、リーダー人材と部下の生産性を高め、良好な関係を生み出すことが明らかとなった。
経営陣の期待に応えるような行動ができるリーダー人材と、そうではないリーダー人材のどちらを評価するかといえば、たとえ業績が劣っていようと、私は前者を評価する。長期的には前者のほうが、組織への貢献度が高いと考えられるからである。
本稿では、リーダー人材の行動モデル「CEOコンパクト」について紹介する。ここに掲げる16の要件は、CEOがリーダー人材に期待すべきこと、そして、彼ら彼女らが部下たちから期待されることを明らかにするものだ。良好な人間関係を構築するうえで、また業績を向上させるために、本稿が多くのリーダーやチームの役に立てば幸甚である。
リスト1|経営陣がリーダー人材に期待すること
リーダー人材は、以下に紹介する行動を実践することで、より強力なリーダーシップを発揮できる。日頃よりこれらの行動を心がけていれば、より高い業績と成長を達成し、長期的な成功に資することだろう。
(1)みずから介入する
優れたリーダーは、部下たちに権限委譲する術を心得ている。しかし、それより重要な資質は、リーダーシップを発揮すべき時期をいち早く察知する能力だろう。
たとえば、売れ行きに火がついた製品にはすぐさま資源を追加投入する、品質劣化の解決を支援する、生産性が改善しない工場へみずから足を運んで原因を探るなどである。問題に気づきながら放置するようでは、リーダー失格である。
問題が起きた場合、私はみずから責任を負い、好調な場合は部下たちをほめたたえる。リーダー人材にも、このような姿勢を身につけてもらいたい。悪い知らせでも勇気を振り絞って経営陣に上げてほしい。工場を閉鎖せざるをえない時は、みずからが現場へ赴き、工員たちに事実を伝えるべきである。