質問によってリーダーのEI(感情的知性)が磨かれる
経営幹部は一日中、情報を入手するために至るところで質問している。チームリーダーに最新状況を尋ねたり、厳しい交渉の中で相手に探りを入れたりといった具合だ。ところが、質問スキルを磨くことのできる技能ととらえてもいなければ、自分の答え方次第で会話が実り多いものになるとも考えていない。弁護士やジャーナリスト、医師などの専門職が、養成課程で質問の仕方を必須技能として教わっているのと対照的だ。
これでは好機を逃してしまう。質問というツールには、組織に内在する価値を解き放つかけがえのない力がある。学習や意見交換を促し、イノベーションやパフォーマンス向上に拍車をかけ、チームメンバー間のラポール(心の通い合う関係)や信頼を構築する。しかも、思わぬ落とし穴や障害を察知してビジネス上のリスクを軽減することもできる。
もちろん、質問力を難なく身につけている人もいる。そうした人々は生来の好奇心、EI(Emotional Intelligence: 感情的知性)、読心術を駆使し、絶妙の質問を繰り出す。しかし、たいていの人は投げかける質問の数が十分とはいえないし、問いかけ方も最適ともいえない。