※本稿は「スタートアップに有効な4つの戦略」の内容を基に構成されています。
まず、ビジネスを始めよ
あなたは起業家だ。そして会社はいま岐路に立たされている。苦労して新しいプラットフォームを開発し、いまこそこれを市場投入すべきタイミングだとあなたは感じている。しかし、ベンチャーキャピタルから派遣されてあなたの会社の取締役を務めている人物は、少なくともあと3カ月は開発を続けるべきだと主張する。しかも、明確な市場開拓戦略を定めてその実行計画を示さない限り、これ以上の投資は派遣元のベンチャーキャピタルに進言できないと言う。この人物の助言に従うべきだろうか。あなたの会社と同じような事業を行うベンチャー企業はなく、どのような方針がいいのかヒントとなる過去の実績データもない──。
エリック・リースは著書『リーンスタートアップ[注1]』において、ソフトウェア企業を自分で立ち上げた経験から、顧客と一緒に製品を設計するほうが、事前にビジネスプランを立てるやり方よりもうまくいくと説いた。これは、スティーブン・ブランクとボブ・ドーフが『スタートアップ・マニュアル[注2]』で訴えた主張を補強するものだ。すなわち、あらゆるスタートアップの一番の課題は規模拡大できるビジネスチャンスを探すことであり、それは完全に経験で学ぶしかないプロセスなので、事前にきっちりと戦略を立てられるようなものではない、という主張である。