ナイジェリアの映画産業
“ノリウッド”大躍進の理由
映画が劇場ロードショーを経ずにビデオ化されるのは、たいていは作品にとってよい兆候ではない。前評判が芳しくなかった、出来がパッとしない、あるいは支援者たちが観客動員に自信を持てないなどの状況である。
映画作品を最初からビデオで発売するのは、かつては面目を保って次の作品に取りかかるための方便であった。ところが1992年、ナイジェリアで電子機器店を営むケネス・ネブエが『リビング・イン・ボンデッジ』という作品をビデオで発売すると、何と大ヒットしたのである。
ネブエは空のVHS式のビデオテープを仕入れて店で売ろうとしたものの、すぐに、ナイジェリア人のほとんどにとっては使い道がないことに気づいた。そこで、自家製のコンテンツをVHSテープに記録して売るアイデアを思い付いた。脚本を書き、プロデューサーと監督を見つけ、俳優を雇った。