滴滴出行はなぜ苦戦を強いられているのか
2016年、滴滴出行(ディディチューシン)は世界最大のライドシェア(相乗り)企業となった。中国での1日当たりの乗車数が2500万回に達し、世界中の他のライドシェア企業全社乗車数の合計を抜いたが、実は、2015年に国内ライバル企業、快的(クアイディ)と合併した時に、すでにこの快挙を達成していた。その後、非常に体力を消耗した激しい激闘を制して、ウーバーを中国市場から押し出した。この競争を勝ち抜き、滴滴出行はドライバーへの補助金とライダー(利用者)への割引を減らして、徐々に利益率を改善し始めた。
ところが、同社が黒字になり始めた2018年初め、食品の宅配、映画の発券、旅行予約といったO2O(オンライン・トゥ・オフライン)サービス大手の美団点評(メイトゥアン)が、上海でライドヘイリング(自動車による送迎)サービスに乗り出した。美団は、最初の3カ月はドライバーからプラットフォーム使用料を徴収せず、その後は有料としたものの売上げのわずか8%と、滴滴出行の20%よりもはるかに安かった。
ドライバーも乗客もこの新サービスに殺到した。4月に、滴滴出行は上海近くの都市、無錫市の食品宅配市場に参入して反撃を開始した。そして激しい価格戦争が始まった。両社ともかなり多額の補助金を負担し、多くの食事がほぼ利益なしで販売された。もはや滴滴出行は黒字を維持できなかった。