ブレークスルー戦略を構築するための4つの方策
ビジネススクールの学生たちは往々にして、戦略論の講義にフラストレーションを感じるようである。教わる内容と教わりたい内容に隔たりがあるのだ。
戦略論の教授は筆者も含めて一般に、戦略課題について考えるよう説き、ファイブフォース(5つの力)の見極め、バリューネットの作成、競争ポジションのプロットなど、綿密な分析ツールを紹介する。学生たちはツールが不可欠であることを心得ており、その使い方を実直に学ぶ。その半面、ツールは主に既存の事業環境を変える方法の考案よりも、むしろ現状の理解に役立つものであるということにも気づいている。競争のルールを変えるような戦略は創造的な発想、すなわち直感的なひらめき、異なる発想法の併用、未知の環境への移行から生まれるものだとわかっているのだ。
これは正しい受け止め方である。とはいえ長年の間に開発してきた極めて有用な分析ツールの数々を捨てるべきだ、というのではない。競争環境を理解し、経営資源とコンピテンシーをどう使うのが最適であるかを見極めるには、分析ツールが不可欠だろう。ただし戦略についての考察を生業とする者は、ツールを提供するだけでは従来型の発想を抜け出す助けにはならない事実を、受け入れる必要がある。画期的な戦略を生み出す方法を学生やエグゼクティブに伝授したいなら、創造性の醸成を明確に意図したツールを提供しなくてはならない。